◇極太みみずが腹を這う ~入院体験記その1~

生きのよい極太みみずがお腹の中を這い回った。
幅5㎝はあると思う。
それほど長いものではない。
おそらく15㎝以内であろう。
残念ながら、このみみずは私の視界には映っていない。
大きさは我が身の体感からくる想像上のもの。
なかなか手強い。
こいつが動き回る度に激痛が走る。
こんな奴を腹に宿した経験はなかった。
2回のお産でこんな奴はおらんかった。
にゅるっ。
地平線と平行に
時に斜め15度に
伸びやかで見事な動きをする。
おい、おまえ、いいダンスをするじゃないか。
おまえがそのつもりなら、こっちだって考えがある。
おまえとシンクロしてデュオをしてやろうじゃないか。
こいつはなかなか予測不可能な動きをする。
うずくまる。
うずまっても足首は動く。
ポキポキポキ。
骨の音が心地いい。
おい、聞こえるか?
聞こえているのなら、共鳴しておくれ。
夜を明かして
踊ろう、私と。
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止むに止まれぬ事情があって、入院、手術をすることとなった。
不幸と思うか、千載一遇と捉えるかは己の心次第である。
避けられないことであれば、これを楽しむしか道はあるまい。
生身の身体感覚を味わい尽くす日々の始まり。

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