◇極太みみず その後 ~入院体験記その4~

極太みみずとのデュオはなかなかうまくいかない。
自由奔放なこいつは、気まぐれに不意を狙って大きく動く。
私は為す術もない。
じっとうずくまって耐えるだけである。
こいつの動きを何度か腹で受けていると
同じ動きでも微細な差があることがわかってきた。
にょろにょろっ      ※ラストの「ろっ」は強くカットアウト
にゅるにゅるにゅる    ※フェードアウトしていく動き
にゅわにゅわにゅわにゅわ ※短い距離を振り幅少なくゆっくりと進む
するするするする     ※速い、速い、にわかに駆け抜ける
術後一日、二日、三日、四日…
だんだんと動きが小さくなってきた。
にょろにょろっ が にょろ
にゅるにゅるにゅる が にゅる
にゅわにゅわにゅわにゅわ が にゅわ
するするするする が する
どうどうどう
よしよしよし
静まっておくれ、そうそう、君はいい子だ。
さすりさすり
ぶつぶつ言いながら
なだめてみる。
赤みがかったピンク色の盛り上がった肉が
少しづつ生気を失い、乾いてくる。
そして、ひと月と半分。
1㎝×10㎝ほどの半分生きている百足になった。
百足が靴を履いて出掛けるには時間がかかり過ぎる。
だが、百足の虫は死して倒れず。
乾いた動きに変化しつつ
時に、にゅるにゅると
歩いていこう。
これからは
百足とのデュオ。

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